徹底解説シリーズとは…!?
「一橋大学の数学は、高度な思考力/計算力が求められる日本最難関の問題で…」このような謳い文句、何度も聞いたことがあると思います。ですが、これを聞いて何がわかるでしょうか…!? 確かに一橋大は日本最難関の大学であり、高度な思考力が求められるのですが…「当たり前情報」じゃないですか!? 日本最難関の大学ならば高度な思考力が求められるのも、一橋大が日本最難関の大学であることも、皆さんご存知のはずです。そうではありませんよね、受験生の皆さんが本当に必要としているのは、「どうすればそのレベルに辿り着けるのか?」「できる人はどのような考え方で進めているのか?」といった“How情報”のはずです。
しかしながら、そういった問いに真正面から答えてくれるような解説は意外とありませんでした。従来の解説は、そんな当たり前情報と解答のセットだけ。なぜなら、そういった問いに答えるのはとても労力がかかり、人に伝える形にするのも難しいからです。マナスタの《徹底解説》シリーズでは、「問題をどう考え、解き、答えに至るのか」を、思考の一歩めから丁寧に紐解いていくとともに、そのレベルに至るまでに必要なプロセスまでしっかりと深掘りしていきます。
ただ”解法をなぞる”のではなく、「思考力は鍛えられる」という前提に立ち、あなたが自分の力で難問を突破できるようになるための”解き方”を見ていきましょう!!
・思考の過程の解説があるから、納得感がある!!
2025年前期 第1問
第1問
正の整数\(n \)に対し,\(n \)の正の約数の個数の個数を\(d(n)\)とする。たとえば,\(6\)の正の約数は\(1,2,3,6\)の\(4\)個なので,\(d(6)=4\)である。また,\[f(n)=\frac{d(n)}{\sqrt{n}}\]とする。
(1)\(f(2025)\)を求めよ。
(2)素数\(p\)と正の整数\(k\)の組で\(f(p^k)\le f(p^{k+1}) \)を満たすものを求めよ。
(3)\(f(n)\)の最大値と,その時の\(n\)を求めよ。
完答目安時間は30分です。解いてみましょう!
問題の分析
(1) ☆☆☆☆☆
約数の個数を求める問題。間違う人は1人もいないレベルです。
(2)★★★☆☆
合格する人は確実に取ってくるレベルです。ここまでの完全解答を目指しましょう。
(3)★★★★☆
考え方はとてもシンプルですが、非常に難しい問題。他の問題が解けそうであれば、他の問題に移るのがベストです。
Coming soon
解説
さて、ここからが《徹底解説シリーズ》の本領。まずは、「できる人」の思考のプロセスを再現していきます。
(1)\(f(2025)\)を求めよ。

\[f(2025)=\frac{d(2025)}{\sqrt{2025}}\]だから…
2025の正の約数の個数を求めればいいんですね!
2025を素因数分解すると\(2025=3^4\cdot5^2\)だから…
\[f(2025)=\frac{d(2025)}{\sqrt{2025}}=\frac{15}{3^2\cdot5}=\frac{1}{3}\]



\(f(n)\)を、\(\frac{d(n)}{\sqrt{n}}\)という2つの要素に分解する操作を自然と行うことができていますね!!
このように、「要素ごとに分ける」という考え方は数学において今後も重要になってきます。
また、受験年の素因数分解はすぐにできるようにしておきましょう。
この問題は、上述の通り、一橋大受験者で解けない人はいないレベルの問題ではありますが、「要素に分解する」という考え方は数学において非常に重要です。因数分解や図形分野でも「要素に分解する」考え方は頻出です。今回の問題の\[f(n)=\frac{d(n)}{\sqrt{n}}\]という式を見た時も、あ、これは\(f(n)\)を要素に分解する式だ!!と捉えられるととってもいいですね!!
・「要素に分解する」という考え方はとても重要!
・受験年の素因数分解はできるようにしておこう
(2)素数\(p\)と正の整数\(k\)の組で\(f(p^k)\le f(p^{k+1}) \)を満たすものを求めよ。



\[f(p^k)\le f(p^{k+1}) \Leftrightarrow \frac{d(p^k)}{\sqrt{p^k}} \le \frac{d(p^{k+1})}{\sqrt{p^{k+1}}}\]
\(p\)は素数だから、正の約数の個数も分かりますね!!
\[\frac{d(p^k)}{\sqrt{p^k}} \le \frac{d(p^{k+1})}{\sqrt{p^{k+1}}} \Leftrightarrow \frac{k+1}{\sqrt{p^k}} \le \frac{k+2}{\sqrt{p^{k+1}}}\]















\(p\)に着目して式変形したのですが、ここから何が分かるのでしょうか!?






分かりました
\[\left(1 + \frac{1}{k+1}\right)^2\]は分母に\(k\)があるので、単調減少になります。
\(k=1\)のとき、\(\frac{9}{4}\)で、だんだん減っていき\(1\)に収束します。
\[p \le \left(1 + \frac{1}{k+1}\right)^2\]を考えると…
あ!!pは素数だからpは2しかあり得ませんね!






この問題を解けるかどうかのポイントとなるのは、\[p \le \left(1 + \frac{1}{k+1}\right)^2\]の式から\(p\)が2ということを読み取ることができるかどうか。文字式で行き詰まった時には、まず「色々な数を当てはめた時の挙動がどうなりそうか!?」を考えてみましょう。考える時には、最初っから特定の数を代入するのではなく、グラフの形状がどうなりそうかといったおおまかな視点がとても大切になってきますよ!!
・特定の文字に注目して式変形を心がけよう!
・文数式は、分子の次数が分母未満になるようにすると分かりやすい!!
・文字式で行き詰まった時は、「色々な数を当てはめた時の挙動がどうなりそうか!?」を考えよう
(3)\(f(n)\)の最大値と,その時の\(n\)を求めよ。



でも、このままでは、\(d(n)\)が明確にならないので、\(n\)を素因数分解の形で置き換えたいと思います!!
\[n = p_1^{a_1} p_2^{a_2} p_3^{a_3} \cdots p_m^{a_m}\]とおくと、
\[f(n) = \frac{d(n)}{\sqrt{n}} = \frac{(a_1 + 1)(a_2 + 1)(a_3 + 1) \cdots (a_m + 1)}{\sqrt{p_1^{a_1} p_2^{a_2} \cdots p_m^{a_m}}}\]



文字多すぎて無理だ。違う解き方があるんですかね…



このように、多変数の積の最大最小問題では、要素ごとに分解できないかという思考が大切です。
今回だと、\[f(n) = \frac{(a_1 + 1)}{\sqrt{p_1^{a_1}}} \cdot \frac{(a_2 + 1)}{\sqrt{p_2^{a_2}}} \cdots \frac{(a_n + 1)}{\sqrt{p_n^{a_n}}}\]と分けられるので、\[f({p_j}^{a_j})・・・①\]という要素に分けることができますよ!



求めるのは①の「積」の最大値だから、jごとに①が最大でかつ1以上のものを掛け合わせれば、全体も最大になるのか!!
あ!(2)で同じような形の式を取り扱ったぞ。(2)で\(p=2,k=1\)の時に限って\(f(p^k)\le f(p^{k+1}) \)で、それ以外のときは\(f(p^{k+1})\le f(p^k)\)ってことがわかったな。
じゃあ\(p=2\)のとき①の最大値は\(f(p^2)\)で、\(p≠2\)のとき①の最大値は\(f(p^1)\)ってことだ!!
あとはそれらが1以上かどうかを判定して掛け合わせるだけ!!
わかりそうです!!ありがとうございました!



今回は誘導が例えなかったとしても解けるように、「要素に分解する」という考えのもと、\[f(n) = \frac{(a_1 + 1)}{\sqrt{p_1^{a_1}}} \cdot \frac{(a_2 + 1)}{\sqrt{p_2^{a_2}}} \cdot \ldots \cdot \frac{(a_n + 1)}{\sqrt{p_n^{a_n}}}\]という式変形をするという説明をしましたが、前問の結果を利用するという姿勢でも、この式変形の発想に至ることは可能です。このように、難関大の問題では、「前問の結果を利用する」という姿勢がとても大切です。最後の小問を解くためにそこまでの小問が構成されていることがほとんどですので、最後の小問では特に「前問の結果を利用できないか!?」という目を常に持つようにしましょう。
また、ここでも「要素に分解する」という考え方が出てきました。広く数学の問題を解くときに使える考え方だということが分かりますね!!
・特に難関大の最後の小問は、前問の結果を利用するという意識を持て!!
・「要素に分解する」という考え方は広く使える考え方!
解答
(1)\(f(2025)\)を求めよ。
coming soon(ネットで2025 一橋数学と調べたら出てきます)
(2)素数\(p\)と正の整数\(k\)の組で\(f(p^k)\le f(p^{k+1}) \)を満たすものを求めよ。
coming soon
(3)\(f(n)\)の最大値と,その時の\(n\)を求めよ。
coming soon
この問題で使った思考法まとめ
coming soon
おわりに
(3)を解いている途中、男の子が「この解き方で合ってるのかな…」と不安になっているシーンがあったと思います。このように、模試や受験本番に自分の選択を不安に思う機会は少なくありません。この不安を払拭して、惑わされずに解くには、「体系立った思考のインストール」が不可欠です。「〇〇という理由でこの解法を取ったから、この解き方に違いない」「これで解けなければこの問題は諦める」そういったマインドで試験本番に挑めるように問題演習に励んでいきましょう!!